"少女A" - part3 - 2020.11.02

この物語はフィクションであり、実在の人物、団体とは一切関係ありません。
著者:ハッシー

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ある日、島田病院に受診した中学3年の女の子が内科受診した。
肝腫瘍の疑いで腫瘍内科に紹介された。
この子は翼ちゃんといい、元気はあるものの上腹部にポコンと腫瘤があった。
早速めいは腹部超音波検査を施行し、6cm大の腫瘍と多発性の円形の腫瘍も確認した。
精密検査でCT検査、腹部血管造影を進めると末期の肝硬変の肝臓ガンと転移性肝臓ガンと診断された。

肝臓は沈黙の臓器と言われ痛みがなく、ましてや中学生に発症するのは稀である。
手術の適用がなく、翼ちゃんは入院し抗ガン剤治療を始めた。
抗ガン剤治療を数回実施し、若干のガンの縮小を確認したが、
副作用が強く嘔気と食欲不振、そして髪の毛も抜けて肉体的にも精神的にも弱ってきていた。
両親に余命は数ヶ月と告げると、目標は中学の卒業式に参列させてあげたいと言われる。
あと半年間はなんとしてももたせなければいけない。

数週間後に翼ちゃんに黄疸が出始めた。
超音波検査で確認すると腫瘍が肝内胆管を圧迫したために胆汁が流れないためだった。
そこでめいは黄疸を取るために超音波下に針を差し、
肝内胆管に管を入れPTCD(経皮的胆管ドレナージ)の処置を行った。

その後、めいは延命を一番に考え、抗ガン剤治療を中止し、
肝機能改善のみの治療に切り替えた。
翼ちゃんは抗ガン剤投与の中止と黄疸が消えた事から少し元気と食欲が出て、
週に3日、午前中だけ通学の許可が出た。

一進一退の病状が続き、なんとか正月に1日だけ外泊し実家で過ごした。
2月の頃から倦怠感が持続しCT検査にて腹水と肺転移が認められた。
腹水に関しては水を抜いて膨満感をなくした。
腹水を抜くと少し楽になり、ベッド上で起きたりしていたが、
咳が持続し胸水もたまり始めていた。
症状改善目的で胸水も抜くようになった。

なんとか3月の卒業式まで頑張り、
卒業式当日は車いすにて、看護師付き添いでご両親と出席できた。
卒業式の翌日にてんかん様発作が出て、検査にて脳転移が明らかとなり、
みるみる意識がなくなった。
翼ちゃんは1週間後に眠るように息を引き取った。
ご両親と卒業式に参加できたことが唯一の救いだった。

こんな矢先にめいの体調がすぐれず、嘔気もした。
妊娠が発覚した。それは皆が待ちわびた喜びである。
しかし、その喜びで裏で胃の痛みや相変わらずの嘔気が続いていた。
これは妊娠のためではなかった。

日に日に体重減少を認め、胃内視鏡検査を実施するとスキルス胃がんと判明した。
腹部超音波検査にてリンパ節転移を認めた。
めいの体もガンにより蝕まれていくこととなった。


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パート4へと続く


 

はる診療所

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